証言者のご紹介

  • 加藤当子
    (かとう・まさこ)
  • 吉田紀光
    (よしだ・のりみつ)
  • 校條 功
    (めんじょう・いさお)
  • 小久保昌幸
    (こくぼ・まさゆき)
  • 小池千歳
    (こいけ・ちとせ)
  • 馬場せき
    (ばば・せき)
  • 川合久美子
    (かわい・くみこ)
  • 中山幸男
    (なかやま・ゆきお)
  • 鈴木三千夫
    (すずき・みちお)

はじめに

2018年(平成30年)現在、日本史上未曾有の惨禍となったアジア太平洋戦争の体験者がいなくなってしまう日が近づいています。それは言うまでもなく戦争体験を聴くなど直に触れる機会の喪失を意味します。
人口構造の変化だけではなく、終戦した1945年(昭和20年)と現在では社会や生活環境が激変しています。ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)の発展はめざましく、社会のあらゆる分野での利便性を高めました。インターネットやスマートフォンは欠くことのできないものになっています。それは多くの有益をもたらす一方で、次々と提供される情報の高速化と量は過剰とも思え、一つのことを深く考えて体得する前に次の情報が次々と迫ってくることもよくあります。それは物事への感性が浅薄になったり、忘れやすくなるような背景を生んでいるような気もします。
安全で安心な生活の大前提である平和についてはどうでしょうか。1945年(昭和20年)の敗戦以来、日本は一度も戦禍を被ってはいません。その有り難さを忘れたり、それについて考えることをしなくなったとき取り返しのつかないことになる恐れがあります。
1945年(昭和20年)上半期の日本は、日米の圧倒的な戦力差の前に敗北必至、多くの一般市民が空襲の犠牲になりました。非戦闘員であっても朝起きて夜まで生きていられる保障はどこにもありませんでした。それは岐阜県多治見市でも例外なく同じだったのです。
1945年(昭和20年)7月15日、多治見市における一連の空襲の中で最大の被害を出す事件が起きたのです。

私は、本書によって次の4つを伝えたいと考えています。

  • 1. 多治見空襲の総括的な記録の制作と風化の防止
  • 2. 多くの犠牲があって、平和で豊かな社会が形成されていることの再認識
  • 3. 平和の大切さと維持について考える資料の提供
  • 4. 多治見空襲を風化させずに継承していくことによる社会貢献

多治見空襲という過去を学ぶことで、現在と未来を考えるきっかけになったり、読者の皆様にとって何らかの気付きや発見があれば大変うれしく思います。

鬼頭 佳嗣

著者プロフィール

著者写真
鬼頭 佳嗣
(きとう・よしつぐ)

(アジア太平洋戦争研究者)
(多治見市役所勤務)

1972年(昭和47年)愛知県生まれ。
明治大学文学部史学地理学科日本史学専攻卒業。
卒業時に高等学校教諭地理歴史科、高等学校教諭公民科、中学校教諭社会科の教員免許を取得。得意分野は、アジア太平洋戦争。
歴史愛好家。生涯学習として多治見空襲の調査と記録保存活動を行っている。
その成果は、2018年(平成30年)7月15日に自費出版として発表予定。
拙著の制作にあたり、特に若い世代への歴史継承を意識し、仮原稿を用いて多治見市内の中学生と意見交換を行うなど若い感覚を採り入れることに注力中。
僅かに残る多治見空襲体験者の貴重な声の掲載、歴史科学の手法による考察、インターネットやSNSに慣れている現代のメディア環境を意識した構成など工夫を凝らし、多治見空襲という過去を学ぶことで、現在と未来を問いかける作品にしたいと鋭意取組中。

出版にむけて中学生と意見交換をしました

制作の過程において、どうしたらこれからの日本を担う若い世代に多治見空襲を身近に感じてもらえるか、どうしたら拙著を機に戦争や平和について考えてもらえるか等、いかに若い世代に多治見空襲について今を感じてもらえるかということを課題にしてきました。

また、どんなにメディア環境が進化・変化しても歴史を伝えていくつなぎ役が必要です。主体である人間同士の伝達が途絶えることは“忘れる”ことになってしまいます。両親も戦後生まれで、当然自分自身も戦後生まれの私が戦争体験者から襷を受けたように次の世代へ歴史継承の襷をつなげていきたいと考えています。それは例えば論文を書くというような特別なことの推奨ではなく、「多治見で空襲があったことや平和について視線や意識が向くように」という意味のものです。

この度は多治見市立平和中学校と多治見市笠原中学校のご厚意で中学生のみなさんと意見交換の機会をいただきました。「多治見空襲のことを全く知らないので、市民の一人として知っておきたいと思って参加しました」、「自分も少しでも役に立ちたい」など頼もしい意見を次々と出してくれました。きっと新たな発見があったと思います。中学生との意見交換は本書でも記載しますので、ご期待ください。

中学生との交流の様子1
中学生との交流の様子2 中学生との交流の様子5 中学生との交流の様子4 中学生との交流の様子3

中学生との意見交換会の様子は2018年3月11日の中日新聞でも紹介されました。

目次

第1章 多治見空襲とは

1. 多治見が受けた一連の空襲の整理

2. なぜ多治見が空襲されたのか

3. 計画を実行できる物理的要素など条件の整備

4. 実行

第2章 理解を深めるために

1. 現在と市制が施行された1940年頃の多治見市の比較

2. 銃撃された客車の特定

3. 米軍戦闘機P51D型とは

第3章 多治見空襲体験者インタビュー

1. 小池千歳(小泉駅付近、多治見市役所小泉出張所で同僚が銃弾を受け即死)

2. 馬場せき(銃弾に倒れた小泉駅長を必死で救護)

3. 吉田紀光(小泉駅長であった父吉田庄平を銃撃で失う)

4. 加藤当子(多治見駅で銃撃された客車の1両目に乗車)

5. 小久保昌幸(多治見駅で銃撃された客車の2両目に乗車)

6. 川合久美子(多治見駅で銃撃された客車の3両目に乗車)

7. 中山幸男(多治見橋で銃撃に遭う)

8. 校條功(豊岡療院で負傷者の救護に従事)

9. 鈴木三千夫(被災した多治見駅で救護活動に従事)

第4章 考察のまとめ

1. 多治見を襲ったP51D型の機数

2. 1945年(昭和20年)7月15日の射撃経路の整理

3. なぜ1両目と2両目に被害が集中したのか

4. 本書でわかったこと及び仮説の整理

第5章 つなぎ役との接点―歴史継承の襷リレー

1. 中学生との意見交換

読者の声

40代男性

今では生で戦争の話を聞ける機会は少なくなってしまいました。
そういった中で、このような本が刊行され若い人にも戦争について考えられる機会ができること、体験談を聞くことができる機会があること、これからも戦争のない平和な世の中を作っていくうえでも貴重な資料だと思います。

私は可児に住んでいますが、祖父母や父母から戦争について話を聞いたことはなく、多治見でも空襲があったこともこの本を読むまで知りませんでした。戦争の被害というと沖縄や広島、長崎が思い浮かぶのですが、日本全国で悲惨な状況が起こっていたのだと、改めて思い知らされることにもなりました。

なぜ工場や飛行場もない多治見が空襲されたのか不思議でしたが、地理的状況(人口の多い名古屋に近い)、鉄道が敷かれていた等の要因が挙げられその点では、一般市民が標的にされたこともショックでした。また空襲の時期がこの地域のお盆と重なったことが不運だったと思います。

資料・文献に目を通すだけでも戦争の悲惨さは伝わってくるのに、体験者の方々のお話はより一層悲惨さや無念さが伝わってきて、戦争について語られない方がいるというのもわかる気がしました。その中でも、家族や同僚が目の前で死んでいく姿を語られていることから私たちも目を背けてはならないのだ、という思いになりました。

そんな中、中学生など若い世代が関心を持ってくれるのはいいことだと思います。誰しも戦争の話を聞いて、よい印象を持つことはなく辛くて悲しい思いをすることでしょう。しかし真実から目を背けていては、戦争の悲惨さ・辛さを後世に伝えていくことはできません。

若く多感な彼ら彼女らが感じ取ったことを伝えていってもらいたいと思います。ひと昔前なら、戦争について調べたりするにも本ぐらいしかありませんでしたが、いまではインターネットで検索すれば、スマートフォンからでも調べることができ、情報を共有することも可能です。この悲劇を風化させないため、後世に伝えるために私自身もっと体験談を聞いてみたいと思いました。

戦争被害と聞くと、沖縄や広島、長崎を連想する人が多いと思いますが、戦争の惨禍は日本全国で起こって、自分の住んでいるところでも起こっていたことを忘れないようにしたいと思います。8月15日は終戦記念日です。それと共に全国的にはお盆の時期でもあります。

先祖にお墓参りをする際には、今まで戦争が起こることもなく平和に過ごせてこれたこと、これからも過ごせてゆけるようにという思いを持ってお参りしてみてはいかがでしょう。

20代女性

私は多治見が空襲に遭ったということはどこかできいたことがあり、知っていました。しかし、なんとなく知っているだけでそのことについて深く考えたことはありませんでした。

私にとって戦争といえば、広島の原爆や沖縄戦のイメージが強いです。それは、ドラマやアニメ、書籍から知ることや、学校で学ぶ機会が多かったからです。原爆ドームやひめゆりの塔などの戦争の跡をその地に行って実際に見たこともあります。しかし、普段私が生活している多治見で起こったこの空襲については、「空襲に遭ったことがある」ということしか知らなかったのです。まるで遠い別の世界のことのように感じていて、それ以上知ろうと思ったこともありませんでした。この本に、平和のありがたさを忘れたりそれについて考えなくなったりしたとき取り返しのつかないことになる恐れがあるとありましたが、私自身、戦争の悲惨さを知っているつもりになっているだけだったのだと反省しました。

この本には客観的な考察とともに、多治見空襲を実際に体験された方のお話も載っています。空襲に遭ったときの様子、感情が生々しく書かれており、読んでいるとまるで自分がその場にいるような気持ちになりました。亡くなった方も残された方もどんなに辛かったことかと思わずにはいられませんでした。この方たちのことを決して風化させてはいけません。

この本を読んでから、多治見駅を使う機会がありました。当時の様子が目に浮かんで、この場所でたくさんの人が苦しんで亡くなったのだと改めて実感し、そっと手を合わせました。この本をたくさんの方、特にこの地域に住んでいる人に読んで欲しいです。当たり前に生活しているこの場所でかつてなにがあったのかを知り、これからの世代に語り継いでいくのが私達の役目だと思います。

メディア情報

  • 2018/07/22(日)多治見空襲慰霊祭(於:虎渓用水広場)参加
  • 2018/07/24(火)多治見倫理法人会 講演
  • 2018/07/26(木)18:30〜 NHKまるっと岐阜 出演
  • 2018/08/18(土)多治見ライオンズクラブ 講演

『多治見空襲を知っていますか?語り継ぎたい「あの日」の記憶』
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